近藤栄次朗 式日 株式会社 エミ
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 投稿番号:100168 投稿日:2001年09月15日 13時48分48秒  パスワード
 お名前:zigenin
剣の巻について知りたい
キーワード:剣の巻
コメントの種類 :書籍・文献  パスワード

「平家物語『剣の巻』」が文学史上どういう位置付けなのか知りたいとおもっています。今市販されている本の中には掲載されていないようです。昭和二年発行の有朋堂版にはありますが、私の所持している本は保存が悪く21・22ページの欠落があります。2ページ分の内容を知りたいのですが。この巻は、謡曲「鉄輪」の元にもなっています。

[1]服部 明子さんからのコメント(2001年09月15日 21時05分29秒 ) パスワード
  

角川文庫 1790 の「平家物語」下巻の付録に出てるのしか知りません。
佐藤謙三講註です。

本屋さんの文庫本の所で捜せませんか?

日本には神代の時から伝わる剣が3つあるというお話でしょ?
安徳天皇と一緒に水の中に沈んだ剣はもともとが竜の剣だからお返ししただけの事
って。

草薙の剣
すさのおのミコト
古代ロマンと源平合戦のロマンが結び付いて
古事記を読んでるような文章。


頑張って捜してみて下さい。
[2]zigeninさんからのコメント(2001年09月19日 20時08分17秒 ) パスワード
  

角川文庫1790「平家物語」下巻付録「剣之巻」ありました。
内容は、岩波 新日本古典文学大系「平家物語」巻第十一「剣」および小学館 日本古典文学全集「平家物語」巻第十一「剣」とほぼ同じ内容です。
私の所持している 有朋堂書店昭和二年刊「平家物語」は、「剣」がありません。その代わり「剣巻」が巻頭にあり、「灌頂巻」で最後を締めくくっている形です。また、その中身は他の本の「剣」「剣之巻」とは違い、源氏重代の鬚切・膝丸という刀の由来が中心で、それが頼朝のもとに参ったのを賀すという、形になっています。「神代よりつたはれる霊剣三つ」のことは、大幅に加筆され量としても増えているとはいえ、後半の一部にしかすぎません。他とは、物語の性格としてもかなり違います。
また、前半の一部に宇治の橋姫の物語が含まれており、それが謡曲の「橋姫」「鉄輪」の元になっていると思われます。
[3]zigeninさんからのコメント(2001年09月26日 22時14分05秒 ) パスワード
  

現在「劔巻」をデータ―ベース化している最中です。著作権がどうなるのか、分かりませんから、ホームページは無理だと思いますが、メールで希望者に配布できるようにしたいです。旧漢字を多用していますから、Windows 98 または Windows NT 以上が必要となる予定です。ちなみに、私はWindows Meを使っています。


[4]kukkiさんからのコメント(2001年12月05日 22時49分32秒 ) パスワード
  

今、平家物語を研究中ですがどうしても劔巻がみつかりません・・・。
旧字体でなら見つかったのですが活字体でないとよめないので・・・。
活字体で探すのはむりなのでしょうか??
[5]今井四郎さんからのコメント(2002年12月05日 21時55分31秒 ) パスワード
  

「平家物語『剣の巻』」は、当平家物語協会のホームページにて公開しています。
有朋堂版にかなり近い物を使用しています。
有朋堂版は、近日中にJ−TEXTにて公開予定です。
小学館の完訳日本の古典の『平家物語一〜四』の四の付録に『剣の巻』の別版が載っていますが、この解説は詳しいです。これは図書館にも有ると思います。

他に『剣の巻』に関連する物は、百二十句本の第107,108句や、屋代本の抽書きの『剣の巻』が有ります。
[6]今井四郎さんからのコメント(2002年12月23日 17時47分02秒 ) パスワード
  

平家物語『剣の巻』有朋堂版は、本日J−TEXTにて公開しました。
[7]くくろびんそんさんからのコメント(2003年12月07日 02時42分35秒 ) パスワード
  

「剣巻」の謡曲とのかかわりはまだありますよ。頼光さんの話の綱が活躍する話で『土蜘蛛』があります。
[8]阪本敏行さんからのコメント(2005年01月17日 10時08分05秒 ) パスワード

今井四郎さんのHPの「剣の巻」も見せて頂いたのですが,「剣の巻」は,やはりフィクションとして読むべきで,歴史の資料として使うべきではありませんね。

これを歴史の資料として使ったばかりに,とんでもない迷路に入り込んだ有名な宗教民俗学者(大学教授,故人)や,その影響をもろに被った2人の歴史学者(一人は大学教授で故人ですが,もう一人は古代学関係雑誌の主宰者です)がいます。気の毒です。

私は熊野地方の歴史を研究していたため,途中でそれに気がつき,絶対,資料として使用してはいけないと自戒したのですが,地方にいますと有名な学者の影響の強さに驚きます。郷土史家の方々に理路整然と説明してもなかなかわかってもらえないですね。
自治体史編纂では大変苦労しました。
[9]madokaさんからのコメント(2005年01月21日 01時15分55秒 ) パスワード
URL=http://www4.plala.or.jp/heikebiwa/index.html

平曲には、教習が進んでからでないと修得の許されない、
「炎上物」「灌頂巻」「小秘事」といった39句の「伝授物」があります。
いずれも、天皇家か宗教に関わる内容である点が共通しています。

「剣の巻」は大秘事の扱いとなっております。
天皇家のルーツに触れる内容、とされているからです。

かつては検校だけが語る事を許され、
皇族や大名しか味わうことのできなかった「大秘事」。
なかなか活字化されないことは、もどかしく思いますが、
その理由に思いを馳せていただけたらと、投稿した次第です。

[10]黒髭さんからのコメント(2005年01月21日 11時25分10秒 ) パスワード

modokaさん,今日は。

『平家物語』の「剣の巻」なら今井四郎氏の平家物語協会のHPに活字化されていますよ。ちょっと焦点をはずしたかな?
[11]madokaさんからのコメント(2005年01月21日 23時07分22秒 ) パスワード
URL=http://www4.plala.or.jp/heikebiwa/index.html

黒髭さん、こんにちは。

先の発言は、どなたかの投稿に対するコメントではなくて、
剣の巻を載せた「書籍」は少ないですね、という話題のつもりでした。
平家物語協会HPは「データベース」という認識でしたので…。

紛らわしい書き方でしたね。すみません。

[12]黒髭さんからのコメント(2005年01月22日 01時54分24秒 ) パスワード

madokaさん,今晩は。

私も変だなあと思いつつ,書いたのですが,ご説明で納得しました。

私が『剣の巻』をあくまでもフィクションとして読むべきだと主張するわけは,細部にこだわってのことでもあります。

『剣の巻』に,源為義の娘の婿として熊野別当「教真」なる人物が登場しているのですが,「教真」は歴史上の人物ではありません。

しかも,その前段で語られているように,白河法皇御幸の際に熊野に別当がいなかったはずはなく,現実に白河法皇御幸の18年前に熊野別当に任ぜられた長快という人物がすでにおり,1090年の御幸の際に白河法皇を熊野本宮で出迎えています。

さらに,源為義の娘は伝説上の人物である「教真」ではなく,1140年代に実在の人物である熊野別当行範(長快の嫡孫)と結ばれ,6人の息子をもうけています。息子のうち1人は養子となって那智執行に就任し,2人は熊野別当になっています。しかも,6男行遍は『新古今和歌集』の歌人(「法橋行遍」)でもあります。そして,娘の1人は有名な熊野別当湛増の妻になっています。

フィクションと史実の違いをあげていけば限がないのですが,「書籍」に原文があまり出てこない(その中身だけが虚実ないまぜになって小説や読み物に時々でてきますが)のはフィクションであるが故のことかもしれません。

まあ,平家物語そのものが虚実ないまぜになった物語であることは間違いないのですが。

歴史を書こうと思ったら,平家物語のこの辺の微妙な部分をしっかり見据えて書く必要がありますね。
[13]今井四郎さんからのコメント(2007年09月22日 14時13分14秒 ) パスワード
URL=http://www.cometweb.ne.jp/~asa/

『剣巻』について解説した某本より引用しました。
『剣巻』とそれに関係の深い作品の主なものを挙げる。
1 百二十句本『平家物語』第一〇七・一〇八句 − これは独立せず、『平家物語』巻十一の中の「剣」に当る箇所であるが、内容は『剣巻』にほぼ一致する。
2 屋代本『平家物語』別冊 − 二巻。いわゆる抽書(ぬきがき)とともに屋代本の付録とされているものである。巻十一「宝剣事」に一部重複する。
3 田中本 − 二巻。田中忠三郎氏蔵写本(高橋貞一氏『国語国文』昭42・7号翻刻)と、塩釜神社蔵の写本とがある。
4 長禄本 − 一巻。本書の底本。水戸彰考館蔵。奥書に長禄四年(一四六○)とあるので、それ以前の成立と知れる。
5 版本系諸本 − (a)承応二年版 B無刊記版本 C『太平記』『源平盛表記』などの版本の付録 D奈良絵本などがある。
Aは国会図書館蔵、三分冊、丹緑本。刊記「承応弐発巳年初夏開板」。Bは駒沢大学蔵。なお静嘉堂文庫に版本写もある。Cは整版本『太平記』などに添えられたもので、冒頭に「漢の高祖は貴坊が属鏤(しよくる)を伝へて白蛇の霊を切って天帝の名を出す事を得たり」で始まる刀剣礼讃の序を有する。DはAの第三冊に当る一巻のみが東京大学付属図書館に存し、目移りによる誤写があるので、Aに先行しない。絵の図柄はAとよく似ているが、互いに一葉ずつ独自の絵がある。
 このうち、2〜5の本文は、部分的に字句の異同があるが、大略は一致し、特に2・3・4は一種にまとめることも可能である。ただし3はどちらかといえば2に近く、4は鏡に関して「アサクマヤ」の歌を載せたり、末尾の一文が加えられるなど、独自の異文がある。
1は、内容的には『剣巻』と一致するが、上・下巻の構成が相違し、詞章にもかなりの異同が見られる(2〜4よりもやや簡略化)。その点で語り本系『平家物語』巻十一の「剣」に近づくと見ることもできる。
『剣巻』の内容は大きく分けると、A.源氏の家代々に伝わる二振(後に三振)の名剣の物語と、B.三種神器、特に宝剣の由来の二部構成になっており、2〜5は壇之浦の宝剣紛失事件をつなぎとして、A.の中にB.を挟む形にしている。1は一○七句にB、一〇八句にAをまとめ、Bの中の鏡の話は一〇九句に譲っている(なお、ABは、熱田明神の縁起譚による関連もあると思われる)。
 語り本系『平家物語』巻十一のいわゆる「剣」は、『剣巻』のBの要領をまとめた形になっており、大幅な文辞の増殖のある『源平盛表記』巻四十四「神鏡神霊都入」「三種宝剣」も、大体その範囲内のものである。
 「剣」は平曲では大秘事とされ、『平家奥秘』『平家肝文』などの秘伝書に含まれたり、別冊で伝えられる。

以上、参考までに。
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