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 投稿番号:100152 投稿日:2001年08月03日 22時27分45秒  パスワード
 お名前:服部 明子
頼朝の歌

コメントの種類 :その他  パスワード

「頼朝の歌」なんて聞いたことがありませんね。

源家で歌が、と言ったら
義家と実朝以外で誰?と考え込んでしまいますね。

[1]服部 明子さんからのコメント(2001年08月03日 22時29分48秒 ) パスワード
  

レスを頂きました:


明子さんの「頼朝の歌って聞かない」って文を見たから、
僕の知ってる唯一の頼朝の歌を送ります。


上洛時、頼朝は東海道橋本の遊女に何かプレゼントをしようと思った。
そこで、連歌を詠んだ:
「橋本の君には何か渡すべき」(遊女の君に何をプレゼントしようか?)
それに返したのが梶原景時:
「ただそま皮のくれで過ぎばや」(何もやらないで行っちゃいましょう)


頼朝時代に連歌がさかんだったか疑わしいのですが、
中公「日本の歴史」第7巻470ページに掲載されてます。
しかし、ホントに頼朝の歌って聞かないね(下手だったのかな?)。
[2]服部 明子さんからのコメント(2001年08月03日 22時31分54秒 ) パスワード
  

同じ人からのメール:


これだったら、前九年合戦の

源義家:衣のたては、ほころびにけり(下の句)
安倍貞任:年を経し、糸の乱れの、苦しさに(上の句)

の方がずっといい。


義家が、退却する貞任に呼びかけた時の歌です。順番が逆なのね。



順序が逆というのが不思議ですね。
[3]服部 明子さんからのコメント(2001年08月04日 00時50分13秒 ) パスワード
  

同じ人から:



明子さん、日本語の「文弱」ってどう思う?

僕は偏見の象徴だと思う。
つーか、現代人に適用するんなら、まんざら外れてないと思う。
でも、それを封建時代の人に当てはめるのは大問題だ。

だって、鎌倉時代くらいまでは、「歌を詠める」ってことは超能力だったんだから。
神通力と言おうか? とにかく、人間としては最高の能力だった。


天皇の一人に後鳥羽天皇がいる。
この人は、承久合戦で負けたがゆえに、いろいろと評判が悪い。
でも、この人が「新古今集」でも指折りの歌人だってことを、歴史好きはけっこう忘れてる。
後鳥羽帝は当時としてはけっこうな才人だった。
スポーツに秀で、ケンカに強く、しかも歌が得意だったんだから、パーフェクトな人だ。
過去数代の天皇が、このご先祖さまに会ったら、頭が上がんないだろうな。



翻って古代中国を見る。
中国では詩を作ることがインテリの必須条件だったのみならず、マッチョな将軍さまも詩をよく作った。
「黄鶴楼」で有名な崔ル(さい・こう)は軍人だった。
中国では作詩そのものが軟弱とされたことはない(内容いかんが問題だった)。



古代日本では、歌の役割は今と全然違った。
もちろん、自分の気持ちを託す機能もあった。
しかし、古代人が現代人よりずっと「感性」鋭い人だったことを考えよう。
歌の達人とは、ただ単に女の子にもてるだけじゃなく、一種の神通力も兼有してると考えられた。
だから古代の天皇は、下手くそでも、絶対に歌を作らなきゃいけなかった。
つまり、支配者は歌を作ることによって、一種の神格性を誇示していたわけだ。


この延長線上で考えれば、
源実朝が狂ったように歌を作った(700首くらいだっけ?)のも、
少なくとも文弱だったからじゃあないことが理解できる。

鎌倉武人は、マッチョ武骨な頼家よか、唱う独裁者・実朝を尊崇していた。
たまたま才能があって、しかも東日本の皇帝だったから、あんだけ作ったわけだ。


山本先生は、「実朝評は文学者が作ったものばかり、的確さを欠く」と一蹴してたけど、まったく同感。
少なくとも、一生を戦陣に投じた足利尊氏が軟弱呼ばわりされたことはないでしょう? 
彼だって700首くらい和歌を作ってるんだよ? 
さすがの国粋主義者も、尊氏を中傷はしなかったわけだ
(それを考えると、反共主義者が低レベルな連中だとわかる。もちろん、反米主義者も)。
だから、いかに「文弱将軍」が偏見に過ぎないか・・・・。



後鳥羽院は鎌倉に対抗しうる希有な皇帝だった。
実朝だって、「西」にコンプレックスを持ち、古代の遺風を豊富に残す東日本人にとっては、
夢のような皇帝だった。

後鳥羽院が実朝死去を願ったってのは嘘じゃないかな? 
むしろ、一番「文化的な」将軍を殺すくらい下卑た連中だから、
おれが倒してやろうとか思ったんじゃないの? ま、冗談ですが。


とにかく、歌を作るってことは古代人にとっては凄かった(この字にぴったり)。
達人はスゲーやつだと思われた。
これを文弱というのは、感性が鈍物化した現代人の偏見だよお。
逆に言うと、そんだけろくでもねー歌しか作ってないのかもね、現代人は。
[4]服部 明子さんからのコメント(2001年08月04日 00時55分41秒 ) パスワード
  

同じ人から:


なんで頼朝の和歌が残っていないか?というお話。



鎌倉前期くらいだと、まだまだ私家集があんまり作られていない時代だからかな? 
でも、上記のように、
東海道の宿場で、頼朝と梶原景時が遊女に歌を送ったってエピソードがあるから、
全然ないってことはないでしょう。



北条氏の和歌もあんま聞かないけど、なぜだろう?

「太平記」の中に、高師直が塩冶判官夫人に恋の歌を送ったっていう一節があったけど、
あの時代くらいまでだと、
まだまだ和歌が生命力を失ってなかったんでしょうね。

これ横恋慕って言われてるけど、師直は当時最高の色男だったと言うから、
夫人のほうも、まんざらじゃなかったのでは・・・?

ま、南北朝時代から連歌の大流行を見るから、
個人作の五七五七七はあんま注目されなかったのかも。



徳川時代には完全に「いいとこのお嬢の教養」だもんね、短歌って。
短歌は、正岡子規が再び詩文形式として採りあげたから、
今も続いているわけで・・・。

もし、アララギ一派がおらんかったら、完全に滅亡しとったかも知れんぜ? 
19世紀に一番流行した詩形って、漢詩だもん。



でも、連歌と漢詩を考えると、日本人の古典観がいかに偏ってるかわかる。

つまり、現代人の感覚で見ちゃうんだな、古典を。
日本語で作られていて(漢詩の無視)・・・なんて発想は一種の国粋主義かも知れぬ。

個人が作っている(連歌の無視)・・・ってのも現代人の発想だ。
昔は著作権て発想がなかったんだから(出てくるのは十返舎一九以降だろう)。
僕はこれを、言語学用語を借りて「干渉」という。

光源氏なんか嫌い! って考え方は現代人の発想じゃないでしょうか? 
昔の人の考えを現代人の価値観でゆがめちゃあ、いけないよ。
[5]PONTAさんからのコメント(2005年04月15日 22時12分30秒 ) パスワード
URL=http://www2.wbs.ne.jp/~ponta/

頼朝と梶原景時は仲がよくて、

頼朝が
我ひとり今日の軍に名取川
と詠むと
君もろともにかちわたりせん
と答えたり、

円子川蹴ればぞ波はあがりける
と詠むと
かかり悪しくも人や見るらん
と答えていますね。(ともに『盛衰記』巻三七)

頼朝単独の歌は
かへる浪君にとのみぞことづてし浜名の橋の夕暮れの空(『続後拾遺集』)
があります。
静岡県浜名郡新居町の愛宕山の山頂に歌碑があります。

http://pontyan.blog7.fc2.com/
[6]服部 明子さんからのコメント(2005年04月16日 03時53分44秒 ) パスワード

PONTAさん

ありがとうございました。
早速友人にも転送させて頂きます。
[7]PONTAさんからのコメント(2005年04月16日 23時19分55秒 ) パスワード
URL=http://www2.wbs.ne.jp/~ponta/

どういたしまして。

あと
>だから古代の天皇は、下手くそでも、絶対に歌を作らなきゃいけなかった。

天皇の代わりに歌を詠む歌人がいました。
http://www.f-izumi.com/~bk8s-sndu/kajin.html
の「額田王」の説明にある、「御言持ち歌人」です。

有名な
熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな
は、本当は斉明天皇が兵士を鼓舞するために歌わないといけないのですが、代わりに額田王が歌ったのです。(額田王が斉明天皇の代わりに作り、斉明天皇が兵士たちに向かって歌ったとも言われています。)
[8]暇潰しのギャンブラーさんからのコメント(2005年04月17日 01時19分24秒 ) パスワード

>額田王

彼女は神がかってた存在だそうで
なにやらの化身だってハナシですね。


>熟田津に 船乗りせむと 月待てば 潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな

これも私達には神が味方についているという鼓舞の歌だったんでしょうね。


やっぱり歌は歌の上手な人に書は書の上手な人にやらせるのがいいですよね。
今でも天皇家の皆さんの御歌会の歌は専門家が添削して出しているんでしょうね。
[9]PONTAさんからのコメント(2005年04月17日 13時38分28秒 ) パスワード
URL=http://www2.wbs.ne.jp/~ponta/

>>額田王
>彼女は神がかってた存在だそうで
>なにやらの化身だってハナシですね。

一説に、額田王の父親の鏡王は、鏡神社の宮司で、その娘の額田王は巫女だとしています。娘の十市も斎王(伊勢神宮の巫女)に選ばれています。
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