株式会社 エミ 竹つぼ 新風会(アーツ)
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 投稿番号:100052 投稿日:2000年11月05日 08時01分20秒  パスワード
 お名前:服部 明子
「大原御幸」で終わる意味
キーワード:大原御幸 女人救済思想
コメントの種類 :書籍・文献  パスワード

男女を一対で語る時、
日本では女性の名前が先に来る。
「お軽勘平」
「お染久松」
「お千代半兵衛」
など。

江戸時代の男尊女卑の日本でどうしてこのように女性の名を先に持って来たか?

口調の関係だろう、というのが一般的解釈ではあるが
実は浄瑠璃の習慣で、女性救済を主眼とする芸能だったのだ、と。

救われるべき本体は男ではなかった。
女性であった、と。


浄瑠璃を語る「ごぜ」という寺社の女奴隷が語るので
自分達女は5障があって成仏出来ないと言われているけど
しかし来世ではすくわれるのだという思想を説いて
辛い生活をしている女の聴衆を陶酔させた、と。

そういう芸能を洗練させ、発展させた近松にも浄瑠璃本来の女性中心的な傾向は
はきり残っていて、たとえば「心中天網島」では小春の救済は大事だけど
治兵衛の来世がどうなろうと知ったことではなかった。

それで「小春治兵衛」という順序になるのだ、と。


このように女人救済が主題なのは日本文学にはもっと古くからあって
それが「平家物語」の「大原御幸」である、と。

[1]服部 明子さんからのコメント(2000年11月05日 08時07分35秒 ) パスワード
  

水原一氏は「平家物語」が「大原御幸」で終わっていることを非常に重視している。

建礼門院は天皇の妻だった人なのに義経とかお兄さん達とか後白河院とか
いろいろ男出入りが多い罪深い女だったけど仏道に帰依し、聖女として死んで行く。
彼女が世を去る時は
「西に紫雲たなびき
異香室に満ち
音楽空に聞こゆ」
ということになる。


これが女人救済の象徴になっていると水原氏は取っている。
[2]服部 明子さんからのコメント(2000年11月05日 08時11分48秒 ) パスワード
  

丸谷才一:


「平家物語」の重要な主題として女人成仏があるというのはまことに鋭い指摘である。

普通「平家物語」は男性中心の軍記物語だと思われていますが
そんな本にさえ、こういう側面がある。

このことは日本文学の伝統に女性中心の志向が脈脈とあることの証拠になるでしょう。
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